塾講師に必要な学力・学歴とは
塾講師バイトに興味があるものの・・・
- 自分の学力で大丈夫なのだろうか?
- 難関大学に合格していないと採用されないのでは?
と悩んでいる人は多いかもしれません。確かに学歴は大切な要素ではあります。
しかし、「塾講師バイト」といっても、指導学年は小1から高3・大学受験まで幅が広いものです。
まず、塾講師バイトに対する先入観を捨てましょう。
あなたの視野が狭くならないように、次の4点を整理します。
◆塾講師に必要な学力・学歴~4つのポイント
- 学歴は採用基準の一つ
- 必要な学力は指導学年によって異なる
- 「受験の経験」は有利なキャリア
- 高学歴がマイナスに作用することもある
◆学歴は採用基準の一つ
塾講師バイトの応募資格の定番は、「4年生大学・大学院に在学中もしくは卒業された方」です。
しかし、これはあくまで採用基準(目安)の一つであって、学習塾によっては「短大生」でも採用しています。
そもそも話ですが、保護者が学習塾に求めることを考えてみてください。
- 勉強習慣が身に付く
- 成績が向上する
- 志望校に合格する
保護者が学習塾に求めることは「結果」です。つまり、「結果を実現させやすい人材」を学習塾は求めるのです。
「名選手、名監督にあらず」という言葉があるように、「あなたの学歴」と「保護者が求める結果」は必ずしも関係しません。
だから、塾講師バイトでは、学歴が採用基準の一つにしか過ぎないのです。
ただし、特殊型・特化型の学習塾では「学歴」が重要になります。
例えば、有名中学受験や難関大学受験、医学部受験の専門塾などの場合です。
高学歴を目指す生徒・保護者が相手ですから、彼らの信用・目標に足る学歴が必要になります。
◆必要な学力は指導学年によって異なる
塾講師バイトで求められる学力は、指導学年によって異なります。
低学年であるほど、塾講師の学力よりもコミュニケーション能力やコーチングスキルが重要になると考えてください。
小学校低学年(1~3年生)
短大もしくは4年制大学生なら、学力は心配ありません。
小学校低学年の場合は、勉強に興味を持たせること、ほめ伸ばすこと、書く体力を高めてあげることが大切です。
昔から「読み書きそろばん」と言われますが、「漢字の読み・書き」「算数の計算」と考えればイメージしやすいでしょう。
小学校高学年(4~6年生)
短大もしくは4年制大学生なら学力は心配ありません。
ただし、算数・数学から長らく遠ざかっている人は復習が必要かもしれません。
中学レベルを教えられる知識と学力があれば充分に対応できる学年です。
小学4年生から学習内容は各段に難しくなり、履修内容も増えます。
小学4年生ごろから、「勉強嫌い」「勉強は苦手」といったマインドを持つ生徒のケアが必要になります。
子どもが塾講師に信頼を寄せるように、ほめ伸ばしの教育はもちろん、時に子ども達が興味をもっている流行りの話題にも対応できると完璧です。
中学受験生
中学受験を目指す生徒を指導する場合は、受験対策に精通しておく必要があります。
受験対策は各中学校によって大きく異なるもので、学習塾で蓄積されている情報・ノウハウで対応することになります。
特に算数の文章題では、中学・高校の数学とは別次元の難しさで、特有の「慣れ」が必要です。
同等レベルの中学受験を経験済みなら、その経験値が大いに活きてくるでしょう。
中学1~3年生
高校受験レベルを指導できる学力が不可欠です。
国語・数学・社会・理科・英語の5教科すべてに対応できる必要はありませんが、文系(英語・社会・国語)、理系(数学・理科)で大きく区分されることがあります。
通常は「英語」「数学」の指導がメインですが、特別講習期間(春期・夏期・冬期)は社会・理科・国語の指導を任されることがあります。
指導教科については、高校入試問題を解けるか、解説を見て説明できるかで、あなたの学力をチェックしておきましょう。
難関の高校受験生
偏差値65以上の難関校の受験生への指導では、相応の学力が求められます。
専門教科を持って指導することになり、高校で得意科目であった経験、大学でも専攻しているなどの条件があれば対応できるでしょう。
過去問にチャレンジさせる冬期講習あたりからは、解説の準備などで時間がかかるかもしれません。
高校1~3年生
塾に通う高校生は、大学受験を前提にしていることが多いです。
したがって、現役の大学生や大学院生、または大卒以上の学力が必要になります。
自立学習能力が十分な高校生は勝手に勉強を進められるため、小学校低学年と比べて指導が楽な場合があります。
しかし、即答できないほど難しい質問を受けることがあるので、学力が不足していると心身ともに疲れ果てることになります。
成績下位の高校生を指導する場合は、中学レベルの復習からスタートするので、高校受験生から高校2年生までを指導できる学力があれば対応できるでしょう(教科書レベルの内容を扱う場合)。
難関の大学受験生
難関大学を志望する受験生への指導であれば、難関大学の在校生か卒業生、または難関大学以上の学歴を要求されることがあります。
ただし、あなたが大学で専攻している教科で指導する場合は必ずしも学歴を問われるものではありません。
近年は慢性的な講師不足に陥っていることが要因となって、インターネットを利用した遠隔授業が盛んです。遠隔授業を活用し、不足するポイントを絞ってサポートする塾もあります。
いずれにしても、受け持つ生徒の学力に応じて、塾講師に求められる学力は大きく異なります。
「受験の経験」は有利なキャリア
履歴書では「あなたの学歴」を必ずチェックします。
エスカレーター式で進学して大学まで上がった人よりも、受験勉強の経験者が有利です。
受験経験者の方が、勉強のポイントや生徒がつまずきそうな点を把握しており、具体的に生徒へアドバイスできるからです。
- 中学受験を目指す小学生への指導 → あなたの中学受験の経験
- 高校受験を目指す中学生への指導 → あなたの高校受験の経験
- 大学受験を目指す高校生への指導 → あなたの大学受験の経験
もし、あなたが有名な私立高校の出身なら、その私立高校への合格実績を売りにしている学習塾では、「出身校」というだけで採用されやすくなる可能性があります。
また、大学受験の場合、医学部進学コースや東大、京大などの難関大学を専門にしている学習塾があります。そういう塾ではそれぞれの大学や学科の合格経験があることが採用条件になっている場合が少なくありません。
受験勉強をしっかりと頑張ってきた人は、苦労してきた度合いと時間の分だけ、塾講師バイトを通じて「経験」をお金に換えることができます。
「受験の経験」とは話が違いますが、例えば偏差値40→70など、学力アップの幅が大きかった人は、低学力層から難関校志望層まで幅が広い指導ができる印象になります。
◆高学歴がマイナスにはたらくこともある
逆に、あまりに高学歴すぎると採用で不利になる場合があります。
難関大学の学生が塾講師のバイトに応募したものの、「優秀すぎて、勉強がわからない子の気持ちが理解できないのではないか?」と判断されてしまうケースです。
学習塾がターゲットとしている学力層によっては、高学歴がマイナスにはたらくのです。
くり返しますが、保護者が学習塾に求めることは「結果」です。
- わが子が勉強習慣を身に付けること
- わが子が成績を上げること
- わが子が志望校に合格すること
「結果を実現させやすい人材」を学習塾は求めています。
◆まとめ
塾講師では、受験への心構えや受験テクニックを具体的に生徒へ伝えます。
スランプや焦り・不安などからの脱却法や、体調管理の仕方すら指導内容に含まれてきます。
塾講師に求められるのは、本人の学歴・学力よりも「導く力」です。
具体的には、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力、コーチング能力と言えるでしょう。
単に教えることが上手な講師でも駄目です。
教えすぎの指導により、講師への依存心が高まり、生徒の自立学習能力が向上しないことがあり得るからです。
塾講師の仕事は、単に知識をわかりやすく伝えるだけの仕事ではありません。
塾に通う生徒の中には、学校の授業についていけず、勉強そのものに興味がない人も大勢います。
生徒を導く熱意、あきらめない粘り強さが非常に重要な要素です。
そして、指導学年と生徒の学力に応じた「適切な指導」がポイントになります。
保護者が講師に望むのは勉強習慣の先にある、子どもの成績アップ、最終的に志望校合格です。
「学力を高めてあげたい」「志望校に合格させてあげたい」という熱い想いがあれば、疲れている時でも生徒の質問に快く応じてあげるような献身的サービスが無理なくできることでしょう。
塾講師バイトを検討中の人は、応募先の学習塾がターゲットとしている学力層を分析してみましょう。
その上で、自分の学歴・学力・経験・コミュニケーション能力等を「商品」と捉えるようにしてみてください。
面接で口にする言葉が違ってくるはずです。
コミュニケーション能力に自信があるのに、学歴を気にして塾講師バイトへの応募をためらっているのなら、積極的に挑戦してみることをおすすめします。そんな人こそ、学習塾業界は求めているからです。
まずは情報収集からです。
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